本人は無意識ですが「相手の事が好き」ではなく「相手の事を好きな ”自分” が好き」という女性が婚活をしているのを時々見かけます。尽くし型で、いわゆるダメンズウォーカー(ダメな男性を渡り歩く女性のこと)になりがちです。また、そんな方がもし結婚している場合、表面上は夫婦仲が良さそうに振る舞っていても、実は相手から冷められて破綻していることもあります。
全国の結婚相談所が加盟する連盟にマネージャーとして、また個人で結婚相談所を運営して多くの方から結婚のご相談を受けていると20代30代、時には40代の方からも、こういったご相談があります。今回はその事例をお伝えして婚活の知識としてお役に立てると幸いです。

「相手の事が好きな自分が好き」な人の特徴

以前、雑誌の恋愛コラムに『恋愛が上手くいかない人の特徴』の一つとして「相手を好きな ”自分” が好きで、実は相手そのものを好きではない」という記事があったのを記憶しています。恋に恋をして自分に酔いしれているのが特徴です。例えて言うなら、もう一人の自分が状況を客観視して「相手に愛されている、喜ばれている、彼は私の事が大好きみたい、そして私はそんな自分が好き」と思ってウキウキしている状態です。要するに本当に相手を好きなのではなく、そういった状態に酔いしれているだけです。

しかし、一方通行の承認欲求なので、こんな状態で結ばれたカップルはある時から関係が壊れていきます。好きになった当初は、全体像が見えなるくらい相手に夢中でどんな事でも相手に尽くします。もっと正確に言うと、相手の気持ちを向かせる事に夢中になります。そして交際が終了になると、「悔しい」と言います。「こんなに尽くしたのに割に合わない」と嘆くのは、見返りを求めていたからです。反対にあわよくば結婚したとしても『結婚がゴール』となってしまい、今まで良い子を演じていたメッキが剥がれ、自我が出て相手に様々な要求をするため、疎ましがられて破綻していきます。中には相手に冷められて破綻していても表面上は仲良しの夫婦として振る舞っている女性もいます。

本来、結婚には異性である前に自立した人間性が必要です。「相手は私の事を好きでなかったとしても、私は彼が好き」と、正々堂々とした見返りを求めない相手を尊重する気持ちを持っていたなら、たとえフラれても清々しい気持ちで後悔はないでしょう。また、もしそれがご縁がつながり結婚したら、その様な基盤のカップルは些細な事では揺るぎません。ましてや家庭内別居や離婚などに至ることはありません。相手のことを本当に大切に思っているからです。

「相手の事が好きな自分が好き」という相手とのご縁は、そもそもお互いが気持ちの行き違いのまま結婚してしまうようなものです。賢いまともな相手なら交際中に気付いてその時点で終了になるはずです。

36才看護師の女性の事例

以前ご相談にお越しになった派遣で看護師をされているM紀さん(当時36才)は、29才の時に大手結婚相談所に入会をし、上手く行かずに2ヶ月で退会をしたそうです。どうしても結婚したかったM紀さんは、その後はマッチングアプリで半年で500人に申込みをしてやっと交際相手を見つけたそうです。

M紀さんがいわく「本音を言えば理想の条件と違っている人で、プロフィールの時点ではそこは不満でした。例えば私は大卒で給料は割と良いのですが、相手は高卒で仕事は販売員だったので年収は低い事が予想されました。それでも実際会ってみると細身でカッコよかったので、一目惚れでした。『条件は目をつぶってでも、どうしてもこの人と結婚したい!』と思いました。」とのことで、初めて会った日に新宿歌舞伎町界隈の居酒屋内で交際を申し出てOKしてもらったそうです。「出逢いなんて頑張れば簡単なんだ、と軽く考えて思ってしまいました」と当時を振り返ります。
それからはダイエットや美容を頑張ったそうです。週末ごとに彼のアパートへ出かけて掃除や料理をして毎日LINEをやり取りして交際を楽しんだそうです。しかし、そんな幸せの絶頂から3ヶ月もしないうちに暗雲が立ち込めてきました。その男性のお金や彼女にだらし無い所が見えてきて、前の彼女とちゃんと別れていないことも判明したそうです。交際当初は大学時代からの女友達に「彼ができたの?!えー、イケメンなんだ、いいなぁ~。運命の出逢いなんだね~羨ましい!」と言われていたのでもはや周りに相談は出来ません。「とても素敵な彼なの」と自慢を続けていたそうです。彼の心が離れないようにビクビクしながら未読スルーになりがちな彼との関係でもM紀さんはトコトン追いかけていったそうです。おそらく『都合の良いオンナ』になっていたかのかも知れませんが、もはや全体像は見ることはできません。愛というより執着に変わっていることをも分からなくなっていたそうです。
「こんなに愛してあげられるのは自分だけ、私だったら元の彼女のようにあなたを悲しませたりしない」と、根拠のない自信でいっぱいだったそうです。しかし結局、LINEで呆気なく「もうオマエとは無理」と交際終了を言い渡されたそうです。裏切られた感情が押し寄せたそうですが、それはM紀さんが一方的な感情です。それを気に結婚相談所への再入会を検討したそうです。実害はなく、よくある交際のお話なので、今となっては交際終了になって反って良かったのかも知れません。
ただし、このようなエキサイティングな情熱的な恋愛タイプの方が結婚相談所で婚活をすると「いい人がいない」という状態になります。しかし恋愛と結婚は別なものなので、夢から醒めて、現実の結婚の勉強からしなくてはなりません。M紀さんは現在『幸せな結婚への道』というものを、お見合いを重ねながら実践し、面談で振り返りをして肌感覚で考え方の本質を磨いています。時々「えー、そうなんですか?!目からウロコです」という事もあり我流との違いが判って成長を遂げているようです。本来は素直で純粋・頑張り屋さんなので、本当の意味での幸せの階段を上り始めました。これまでの事は「若気の至り」という事で、今後はお見合いや交際で本当の成功体験をして、その上書きができる事でしょう。

まとめ

「相手を好きな自分が好き」という事は、相手そのものが好きではなく、その状況が好きで自分に酔いしれているという事です。それでも恋愛や結婚は出来ますが、相手を好きという気持ちが本物でないために基盤が壊れやすいものです。

また事例では、相手に尽くしすぎることをお伝えしましたが、相手を好きになり相手に尽くすこと自体は悪いことではなく、それが『執着』や『自己の達成感・自己満足を満たすもの』である場合に問題があります。
勉強・仕事(事務系)・趣味・貯金・ショッピングなど、自分1人で達成できるもと違って、結婚は『相手がいる』ことなので相手への思い遣り・自立が大切です。それは難しい事ではなく、シンプルに言えば、お互いに一定のルールさえあれば過度の要望を持たずただ居心地良く過ごすという事なのです。唯一無二の『親友』のような関係なのかもしれません。

現在婚活をしている方の場合、これまでの婚活を振り返って「相手の事が好き」ではなく「相手の事を好きな ”自分” が好き」になっていないかを確かめてみることをお薦めします。尽くしすぎたり、相手に好きになって貰おうと頑張り過ぎたりしている方など、もし思い当たる節があれば、それを意識するだけできっと『幸せな結婚』に近づいていけると思います。

皆さんの幸せを心から祈念しています。無料面談のお申し込みはこちら。お気軽にどうぞ。