全国の結婚相談所が所属する連盟の社長室マネージャーとして、また個人的に運営している結婚相談所の仲人としてご相談を受ける際に、時々「どうして結婚相談所に　こんなに素敵なハイスペック男性がいるのですか？こんな男性は周りの女性は放っておかないのではないですよね？登録しても直ぐ結婚しちゃいそうですね！」というご質問があります。

実は、ハイスペック男性は、直ぐに成婚に至ることは意外に少ないのです。（結婚相談所を5年以上も経営している方ならよく分かっていることなのですが）『結婚相談所で活動すると、ハイスペック男性が陥る落とし穴』があるからです。では何故直ぐに成婚しないのか近年の状況を分析して、よくあるパターンとそこから見えてくる実情（落とし穴）をお伝えします。

ハイスペック男性とは：近年の男性目線と女性目線の違い

ちなみに「ハイスペック」男性というのはどんな人なのでしょうか。最近の多くの女性会員様の意向は下記が多いようです。
10年前と違って最近（この5年間くらい）では男性と女性が思うハイスペックが少しズレて来ているのが下記表で判ります。

スペック	男性が考える「女性が理想とするハイスペック男性」	女性が理想とするハイスペック男性
学歴	国立大卒・有名私立大学卒	大卒以上
年収	1,000万以上	アラサー女性：対象の男性年収 500万〜700万 アラフォー女性：対象の男性年収 700万以上
身長	170㌢以上	170㌢以上
年齢	女性は、男性が高年収であれば男の年齢は 気にしないだろうと考えている	アラサー女性：対象男性年齢29歳〜35歳 アラフォー女性：対象男性年齢：35歳〜42歳
性格	リーダーシップがある男性	女性の立場や気持ちを理解してくれる男性
その他	医師・弁護士・公認会計士・税理士なら女性にモテる	爽やかな外見・できれば好みのイケメンが好き

15年前は、殆どの女性は3高（高学歴・高収入男性・高身長）の男性を希望していました。そして現在は、男性は「ハイスペック男性とは高学歴・高年収・170センチ以上」と変わらず思っている方も多くお見受けします。

一方、女性目線の「ハイスペック男性」は単に高収入・高学歴・高身長でなく、それに加えて「性格」と「外見」の付加価値も求めています。特にモテる女性ほど、寧ろ「高学歴・高年収・身長」より「女性への気遣い・気持ちを理解してくれる」事を最重要視します。

なぜ、ハイスペック男性は苦戦するのか

上記からも判るように、男性が考えているハイスペック男性と、実際に女性が考えているハイスペック男性には【乖離】があります。その上、男性はお相手検索サイトでは年齢で絞った上で【写真】で女性を選びます（女性はプロフィール内容を全て目を通して申込みをしますが、男性は文章の部分は斜め読みでほぼ写真で選びます）。
男性の考えが、女性と【乖離】している上にプロフィールの【写真】のみで相手を選ぶ為、苦戦します。美人でニコやかな笑顔の写真のままをイメージしてお会いするとバッサリ辞退を繰り返されます。つまり『自分が年収・学歴・身長のスペックが高いから、綺麗な女性と結婚できる』と思うのは独りよがりの考えで、性格と外見の付加価値も努力して付けないと難しいということです。
「自分はハイスペックだから、お相手検索データだけあれば大丈夫」と、ウッカリありのままの自分で婚活を開始すると、Tシャツ･短パン･ビーサンで戦場に出かけるようなもので、当初の期待に反してなかなか結婚できない事象が起こります

ハイスペック男性の実態とは

よくありがちなパターンを以下に分類して解説します。

１．結婚相談所に登録した途端、スペックの高さから多くの女性から申込みが来て「選べる立場」の感覚になり、お見合いや交際をしても「他にもっといる」と自分の理想（外見・性格・年齢）を追求して辞退し続け、なかなか成婚に辿りつけない




２．綺麗な女性とお見合いしてフラレても、申込みがドンドン来るので「たまたま相性が合わなかった」と改善点を顧みることなく次々とお見合いをして、あっという間に浦島太郎のように年取ってしまう。自分の年齢が上がっても女性の対象年齢は同じままなのでお見合いが組めなくなってゆくが、過去に綺麗な人とお見合いを沢山してきた為、理想が上がりすぎたまま婚活を続けてしまう



３．女性との交際経験が殆どないため、スペックと実際が違う印象。お見合いはできるがコミュ力が欠けるため交際成立にならず、例え交際になっても3回目以内で終了してしまう。交際経験がないゆえに美人や可愛い女性との結婚に憧れがあるが、実力不足で難しい。できるなら改善したいと密かにモガいているが、どうして良いか分からない。細かいサポートがない大手結婚相談所には不向きなタイプ。実際は包容力がある女性がマッチする。


もちろん、上記以外のハイスペック・外見・性格も◎の男性も結婚相談所には存在しますが、かなりの確率の低さで、しかもかなりのスピードで成婚するでしょう。

ハイスペック男性が陥る落とし穴と解決法

ハイスペックの男性でもし『出逢いがない』『世間一般では女性から声がかからない』という男性でも、結婚相談所で年収や大学名を公開し、写真もスタジオ撮影したもので登録すれば申込みがたくさん来るでしょう。
しかしそれは「ハイスペック」の部分のみが第一次審査を突破しただけの事です。その時点でモテた気になると後々モガくことになります。年収が高くても、実際にお見合いや交際をして「空気が読めない」と女性の心は掴めないでしょう。しかしどんどんお見合いが組めるので、立ち止まって自分の改善点や本当に合う女性を考える暇もなく、長期間 外見だけの理想を追う『夢追い人』になり、自分の年齢だけがどんどん上がって行きます。これがハイスペック男性が陥る落とし穴です。年齢が上がると更に結婚が難しくなります。
この落とし穴から抜け出る解決法は、『外見での判断基準』から『居心地や性格など本質での判断基準』へと着眼点をシフトすることと、完璧には理解はできないものですが女性の気持ちを理解する手法を学ぶことです。そうすることによって望んでいた以上の素敵な女性に出逢えるでしょう。こういう選び方をすると、何故か、お顔も美人さん・可愛い方と出会えます。男性の内面が女性を気遣う素敵男性になると素敵女性を引き寄せるのかも知れません（なお高額なセミナーなどでなくきちんと世話がある結婚相談所の仲人や、または周りの女性などに聞いてみるほうがお薦めです）

実際の事例

実際にお受けした男性の実例です。ある大手結婚相談所で活動をしていたKさん（40歳）からご相談の依頼がありました。聞くと3年間で100件近くのお見合いをこなしているそうですが一向に相手が見つからないとの事です。

Kさんのスペックは年収720万円・公務員・身長170㌢・6大学卒業と、条件が良い方でした。実際のご本人も内気な印象ですが普通体型で髪もあり優しい雰囲気の方です。「入会当初はそこそこ申込みがあり、自分でも申込みをしたら2〜3割ほど成立するので1年ほどは交際のお断りがあっても「こんなものか」と気にせずに活動をしました。

しかし2年目以降も同じ状況が続いたそうです。相手からケンモホロロに辞退され続け、「写真からイメージしていた女性とは違っていることが多く、交際したいという気持ちにはなれませんでしたが、相手からもそう思われていたのでしょう。それにしても相当数のお見合いをしているのに、自分では何でこんなに婚活が長引いているのか全く分からないのです」との事です。

入会後にご一緒に申込みをして探ってみました。そうすると原因がはっきりと分かってきました。それは「年齢」と「プロフィール写真」のみで選んでいるからでした。申込み相手の家族欄に「父：医師」や「イギリスに留学経験」「TOIEC700点」「（アラフォーで）同居」などと書いてあっても申込みをします。最初の段階からKさんの結婚観とはかけ離れている女性であることをプロフィールから読み込まずに申込みをしていたのです。

例えもしそれでもお見合いが成立したとしても、『出たとこ勝負』で、女性本人に聞きたいことや興味をもった部分など頭に浮かばず（そういった基準で選んでいないので当然ですが）会話が盛り上がらずに終了を繰り返しているのです。Kさんに悪気はありません。しかし「お見合いさえしていれば自然と相性の良い相手と出逢えて結婚するだろう」という気持ちで臨んでいたので、婚活に3年という歳月をかけてしまったのでした。

ハイスペックだからお見合いが成立しても、お見合いや交際での気遣いが欠けていたのが長期化した原因ですが、Kさんは素直で人柄も良い方でしたので、以後は相手のプロフィールを読み込んで趣味や価値観が合いそうな相手を選んで申込むようになり、お見合いでの話題も用意して臨むようになりました。交際になってもお店選びは女性側の好みの場所をリサーチしてご提案しました。Kさんは「こういう事まで先を読んでお見合いに臨むことが ”女性への気遣い”なのですね！いつも場当たり的で受け身でお見合いしていましたが、自分が頑張らないといけないのが具体的によく解りました」と前向きに成長していました。

ちょど知人相談所さんに素敵な女性がいたのでご紹介し、入会から半年後に35歳の横浜の会社員女性と成婚になりました。ニコニコした、神奈川在住の可愛らしい大らかな女性です。自然と会話が弾み、4ヶ月の交際を経てご成婚になりました。

まとめ

誰でも少しでも自分の理想に近い相手と結婚したいのは当たり前のことです。しかし、プロフィール上の印象だけでめくるめくお見合いを繰り返していたらあっという間に時間が過ぎてしまうので、以下のことを念頭に効率よく婚活をすると良いでしょう。

【男性の留意点】
・相手のプロフィールを良く読んで、共通の趣味や仕事への夢など価値観が合う人に申込むようにする
・自分が考える「ハイスペック」概念が女性と乖離している場合は、女性目線の『気遣い・気持ちの理解』も意識して婚活をする
・「相手が自分を好きみたいだから自分も相手を好き」という傷付きたくない心理や受け身の姿勢を捨てて、大人の気持ちで対応する
・交際を辞退されたとしても、理由を受け止めて改善してゆくとあっという間に素敵な女性と結婚ができると肝に銘じ、乗り越える

また女性もこういった男性が将来素敵な旦那様に変わる可能性は大きいので、お見合いになったら何度かお会いして本当の良さを見極めることができたら光る原石を見つけたようなものです。是非おおらかな気持ちで接して欲しいと思います。

【女性留意点】
・「ハイスペックだから」とあまりにも期待値を高くしてお見合いに臨まずに、「完璧な人はいない」と将来性を見据える
・「ハイスペック男性」も結局は人の子供なので、仕事はできても情けないところや不器用なところもあると受け止めて包容力をもつ
・良いところを見つけるようにすると次第に婚活力が上がり、わらしべ長者のように素敵な相手にたどり着くことを意識して対応する

たくさんのご相談をお受けする度に、「早くその悩みから抜け出して幸せな結婚をして欲しい」と心からそう思います。