結婚相談所の利用を検討する方は、まず始めに「どこを選んだら良いのだろうか?」と、迷ってしまう方も多いと思います。安価で気軽に試せるマッチングアプリ、婚活パーティだったらそれ程悩むこともありませんが、結婚相談所を選ぶ場合は、料金体系が比較的高いので「間違いないように選びたい」と慎重になるのは当然です。
しかし、慎重に選んだつもりでも実際入会してみると「自分には合っていないのかな?」と思うこともあります。けれど、「結婚相談所って全体的にそんなもんなのか?」と諦めず、他社に乗り換えて幸せな結婚をするケースもあります。業界No.1と書いてるから、料金が高いから、口コミの星の数が多いから『結婚がすぐできる、できない』ではなく、要するに結婚相談所を選ぶ基準は『サービスが自分に合っているか、合っていないか』です。今回は、ひょんなきっかけで他社から移り、理想の相手と結婚した男性の、具体例のご紹介です。

入会の動機と他社での活動状況

2020年秋に、私の所属連盟とは別な、他連盟で開業して4年目のオーナーさんが訪ねて来ました。

「なかなか軌道に乗らず、結婚相談所を閉鎖することになりました。1名在籍しているのですが、その男性が成婚になったらと思っていましたが、なかなか上手く行かず…。所属連盟は業界No.1とは宣伝していますが、とはいえ自分の力量では難しいです。相談所歴が10年以上であれば深く広い人脈はあるのでしょうが自分にはないので、会員検索サイトで申込みをしてもらうしかありません。しかし今の連盟は、気になるお相手結婚相談所へは気軽に問合わせはできません。そのために「誰に申し込んだら受けてもらえるのか」「今は申込をしたら受けてもらえるタイミングなのか」が分からず検討違いの申込みになっている為か、お見合いが成立しません。これ以上は長引かせられないので、この会員さんを土橋さんのところに入会を薦めてもいいですか?」というご相談でした。その会員さんというのが、iさん(当時41才)でした。170㌢65㌔とスラッとしてスタイルの良い清潔感のある男性でした。iさんと入会面談をして、その後3ヶ月ほど検討され、翌年2021年春から弊社で活動を開始することにしました。一度決断して入会した結婚相談所を辞めて、他社を検討するということは迷いや不安があったと思います。しかし、将来のために勇気を振り絞っての再スタートの決断でした。

入会後、まず iさんに「今まではどのような活動をしていたのですか?」と尋ねたところ、「毎月20件の申込を1年間してきました。誰に申込をして良いのか分からなかったのですが、独り黙々とするものだと思って毎月ランダムに申込みがんばりました。年齢は34~39才位まででしたがその他の条件は問いません。しかしほぼ辞退されて、1年間で200件超の申込の中で成立は2件。1件はドタキャン(常習犯だったそうです)。2件目は何を話しても広がらず、30分で終了しました。もちろんお互いに交際不成立です」

努力が報われない、なかなかハードな婚活でした。
i さんは相談所人脈からのお薦めを紹介すると、どんどんお会いしてゆくので、検索サイトや機械マッチングの提供だけでなく、それに加えて、サイトに登録されたデータだけでは分からない実際のお人柄や条件を、結婚相談所に直接問い合わせてマッチングした方を紹介するサービス(いわゆる結婚相談所の人脈からのご紹介)を併用した結婚相談所が合っていました。

結婚相談所は多種多様で各々全くサービスが違う

ところで皆さんは『結婚相談所』は、会社によってサービスが様々であることをご存知でしょうか?
この業界は下記①②③のいずれかです。
①大手情報サービス系・・・チェーン展開している同一会社所属の会員同士のマッチング
②大手仲人型系・・・様々な結婚相談所の集合体である連盟に加盟していて、複数カウンセラーが在籍する大手結婚相談所。加盟連盟内の、別々な結婚相談所同士のマッチング
③個人結婚相談所・・・②と同じく、連盟に加盟して連盟内でのマッチングですが、複数のカウンセラーはおらず、オーナー兼カウンセラーがワンストップでお世話をする結婚相談所

①~③とも共通の役務としては「お相手検索システムの提供」「お見合いの調整やサポート」「会員様からの問い合わせ対応」です。

また①と②は、理念や方針が違いますが、形式はほぼ同じと思って良いでしょう。大きな駅の近くのインテリジェントビル内のサロンのブースにて面談ができます(注:コースや会社によっては入会面談以降は面談が無いこともあります)もし面談が無くても、お見合いのマナーや交際中の注意点などは、マニュアル冊子やビデオセミナーが用意されています。また上級コース(専任コース)や有料オプションがある会社であれば、個別お相手紹介もあります。担当1人につき、会社によって違いますが、30~150名を担当するので、自分から積極的に関わらない限り個別連絡はありませんが、会員検索システムがあれば相談がそれほど重要視せず「自分で黙々とやりたい」という人には合っているといえるでしょう。

③は、大々的に広告を殆どしていないので、HP(ブログ)や知人からの紹介などから知ることができます。お相手検索システムは大手と同じものか複数の連盟に加盟して登録合計人数が大手以上になっている所もあります。また会社によりますが担当(=在籍人数)は1~20名程度なので、一人一人に時間をかけ、①②③共通のサービスに加え、「プロフィール撮影同行」「お見合いの付添い」「LINEでの相談は即時対応」「個人結婚相談所同士の人脈からの相手紹介」「無料面談は回数無制限」などです。(していないところもありますので入会説明のときに要確認です)固定費がないので大手よりも安いのですが、それでいて手厚いので 「初期費用は安く抑えて二人三脚のサポートが必要」という方に合っているでしょう。

冒頭で述べたように、一番大切なのはどれが『良い』『悪い』ではなく、サポートが自分に『合っているか』『合っていないか』です。
所属する相談所により方向性が大きく違ってくる場合もありますので、ネットの口コミや「お薦め◯選」というアフィリエイト記事、HPに記載されている内容を鵜呑みにせずに、複数の入会面談を実際にして比較検討してみることが大切です。

お見合いが成立するようになって

iさんは心機一転、プロフィール写真を人気のスタジオで取り直し、プロフィール文章もアピールポイントを明確に書き直して登録しました。ちなみにiさんの理想の結婚は「子供が好きなので、子供が欲しいのですが、もちろん奥さんだけに負担をかけないように料理・掃除・洗濯、子供の幼稚園の送り迎えも任せてもらいたいです。今は年齢に幅を持って、41才くらいまでで子供が好きな方が理想です」と、理想が高いわけでもなくささやかな幸せを願っている男性でした。

そんな素敵なiさんなので、間もなくお相手から申込が来ました。同時に、近隣相談所10軒ほど電話して、理想に近い方を提案をしました。以前は申込がお見合いが成立しなかったというiさんは、本来素敵な男性だったので、お見合いは1ヶ月平均3~4件成立しました。

しかし、お見合い開始してみると、プロフィールでは「素敵だな」と思っていた女性でも、イメージとは違う方も3~4人いました。例えば、お見合いではハキハキと明るく好印象でも、初デートは昼から舟盛りなどテーブルに乗り切らない程の肴を注文をし、並々注がれた日本酒のおかわり3~4杯、そしてご馳走が当然という38才 女性漫画編集者さん。男性の年収や安定感に厳しく指摘をするのに、本人は親と同居、自宅暮らしの40才女性。相談所PRに「穏やかでどなたとも直ぐ打ち解け、早期の結婚を望んでいます」との記載があるのに、交際中のLINEの返信は5日に1度で、交際終了する様子もないのに発展もしない37才の女性。
最初の1~2ヶ月は、たまには上記エピソードのような方とお会いすることもありましたが、iさんはの素晴らしいところは、いつも前向きで、例え「イメージとだいぶ違っている女性」とお会いしても、誰を責めることもなく、お会いできたことに感謝をして次のご縁に向かいました。

思ったような相手に会えない時があっても、開運して行った鍵

結論からいうと、i さんは8才年下の大和なでしこのような素敵な女性と成婚しました。

なんと言っても『開運した鍵』は、「どこが悪かったのか」を自発的に質問し、アドバイスを聞き入れ、自分の実にしていったところです。
一般的には40才にもなると他人からのアドバイスは聞き入れたくないものです。男女とも同性同士との交友関係は問題なくても、異性との付合いに関しては「相手の気持ちが分からない・結婚まで継続しない」という方は婚活市場を彷徨います。担当としては、例えば10人とお見合いして10人から同じ理由で辞退されたなら、意地悪ではなくその理由をアドバイスとして伝えたい。もし、その理由の箇所が直ったなら、婚活の近道になるのだけど、と思います。けれど結婚相談所からはとても言いにくく、ジレンマに陥ります。
なので iさんのように「自らアドバイスを聞く」「論理的な気持ちで受け止めて、直ぐに軌道修正してゆく」という姿勢になっている方は、成婚が早い。こちらもトラウマのような心の傷にならないように慎重にお伝えしてゆきました。個人の結婚相談所は個性がバラバラなので、お客様とカウンセラーの相性で婚活の明暗が別れることもあるので、結婚相談所歴と経験値と同じくらい、相性も重要です。

ただ、私がiさんにアドバイスした事といえばそれほど凄いことではありませんでした。例えば男性にはよくありがちな事ですが、『自分を初対面からアピールしてしまう事』でした。女性は、お見合いでは普段よりも警戒心が強くなります。その状態で男性がアピールをすると、しっかり心を閉ざしてしまします。イソップ童話『北風と太陽』のような状態です。

成婚まではスピーディー

「iさん、お見合いでは先方のお話を優先的に聞いて、それに対して相手の凄いところ、素敵なところを受け入れると良いですよ」と伝えたところ、回転の早いi さんは「そうなんですね!今までは自分をプレゼンするところだと思っていました。自分を先に認めてもらおうとしていました」と即座に内容を受け止めていました。
人とのコミュニケーションの基本は男女とも、前述した『北風と太陽』なのかもしれません。相手を認めるより先に、自分を認めてもらおうとすると相手は心を閉ざして行きます。逆に相手を本当の意味で「素敵」だと認める姿勢は相手の心を開き、自然に相手も自分を認め、やがてお互い好意を持ってゆくのだと思います。

更に次の日のLINEでは「あれからよく考えてのですが、これからは相手の話を聞いて素敵な所を認めることを大切にしてゆきたいです。例えるなら男性アナウンサーさんのように、相手の話をじっくりときいて素敵なところを見出してゆくような」と、より理解を深めていました。

そうこうしているうちに、iさんはメキメキと本来の頭角を現しました。もともと横浜のとある街の地主の息子さんでしたので将来にも安定感はありました。そこに様々な体験で学習してきた『相手が居心地の良いコミュニケーション』の人物像が加わり、婚活男性としてもパーフェクトになりました。

その時に結婚相談所の人脈でご紹介したのが、8歳年下の女性でした。もう『相手より自分を先に認めてもらおう』という気概の i さんではありません。『相手を自然に気遣える』男性です。そのためお見合いでは相手からかなりの好印象で、交際が成立しました。6月から交際がスタートして週一回、夏の暑い時期にも楽しいデートを重ねて、見事3ヶ月で初秋にご成婚になりました。

あれから1年半、先日お子さんを授かったそうです。とても可愛い娘さんで、産まれた当日に、お写真と共に嬉しいご報告を頂きました。将来のためを思って勇気を出したi さんのお役に立てて本当に良かったと心から思いました。

まとめ

漠然と、「ここは自分に合った結婚相談所なのか、乗り換えたほうがいいのか」と迷った場合は、以下の2つに留意するのが良いでしょう。

1つ目は、乗り換えてみたい他社に入会説明を受けてに行ってみる。その際、以下のポイントを確認することです。
・担当とは気が合いそうか(入会面談で対応した人と実際の担当が同じであるか要確認。入会面談時は凄腕の営業要員で 入会後の実際の担当は全く違っていると気力が落ちてしまう事もあります)
・担当者は何人の会員を担当しているのか(担当人数が多い場合はメールなどの返信が数日かかる事があります)
・料金は適切か、不明な項目がないか?入会時に請求される、(例)初期指導料14万円のような項目は、詳細を確認しておくと、後にトラブルはないでしょう。(説明が出来ない相談所は要注意)
・面談は月に何回あるのか、どんな内容の面談なのか(Youtubeやブログで声高に言われ 既に知っている ありきたりな内容でないか、自分に特化した助言で 親身になって取り組んでくれるか、結婚相談所としての経験値が高いか、など)
・「プロフィール撮影同行」「お見合いの付き添い」「LINEでの即時対応の相談」「結婚相談所の人脈からのお相手紹介」「月複数回の面談(無料)」などのサービス有無の確認
(自分が必要なところだけでもOK)
Webサイトで検索をして、美辞麗句を並べたHPからの印象だけで判断したり、入会説明で流されて入会すると、後日「違った」となるので、実際に自分の目と耳を開いて確かめる事が必要です。

また2つ目は、あまりにも高い理想をかかげていると どの結婚相談所に乗り換えても難しいので、もし「今のままでは結婚できない。幅を広げなければ」と自覚して、それを一緒に考えてくれる担当がいるところに乗り換えるという考えならば良いでしょう。しかし「他に乗り換えたなら白馬の王子様、お姫様がいるのではないか」ということならば思いとどまって、冷静に考えることが必要と思います。

大手・個人に限らず、結婚相手検索サイトの提供登録人数はこの2~3年で8万人前後と、(一部を除き)どの結婚相談所も変わらない時代になりました。

なので人数が多いからアチラへコチラへという時代は終わり、これからの時代は きっと自分に合った結婚相談所というは、「この担当者との面談を重ねてゆけば、素直に自分に向き合える」「結婚の本質の助言を素直に受けられる」という水先案内人(カウンセラー)がいるところなのでしょう。業界全体を熟知したサポーターがいれば、婚活市場という大海原で迷子になることなく、安心して婚活が進んでゆくと思います。