婚活を開始する際、先に条件を提示して婚活が困難を極める女性がいます。特に30代前半〜中盤は「この条件を呑んでくれたら結婚します」と、アラフォーよりも若干年齢に対して気持ちの余裕があるので「自分の譲れない条件を先に提示してそれを呑んでくれたら」という婚活スタイルを取ることもあるでしょう。それでも成功できた人もいれば、失敗した人もいます。

今回は「譲れない条件」があったT美さん(横浜市・35才)が3才年下の男性と結婚した成功事例と、逆に「条件を呑みます」という男性(東京都・32才)に振られた女性(埼玉県・34才)の失敗事例をお伝えします。対比することで婚活の極意が見えるので、条件から入る婚活女性の打開策になることを願います。

譲れない条件があった女性の結婚成功ストーリー

T美さんは以前はマッチングアプリと大手結婚相談所で活動していました。お見合いは出来ても、なかなか成婚まで至らなかったそうです。その理由は大きく2つありました。1つ目は「年下を希望している事」、2つ目は「どうしても譲れない条件がある事」でした。
1つ目の「年下男性を希望」は30代前半ともなるとそれほど大きな問題ではありません。弊社は結婚相談所の人脈があるために、希少な「年上女性を希望の30代男性」情報を入手できるからです。

問題なのは、2つ目の「譲れない条件」でした。

女性が婚活をこじらせる原因になる条件とは

単に「年収が高い」や「身長が高い」であれば30前半代ならお相手検索だけでもお見合いは成立はしますが、自分自身の『譲れない条件』にこだわると難しくなります。ウーンと年上で寛大な男性ならともかく、同世代ましてや年下男性には酷な事です。沢山のお相手がいる中で、わざわざ面倒な条件のお相手は避けるものです。
その『相手探しが難しくなる条件』とは、例えば「自分の職業や趣味を理解して欲しい」や「年収が低いのを考慮してご馳走して欲しい・結婚したら生活費多く出して欲しい」「シングルマザーで子供の学費や環境を配慮して欲しい」「ペットがいるので転居ができないなど、ペットを優先する事への理解を求める」「グランドピアノなど楽器が演奏できる部屋に住まわせて欲しい」「家を購入しているので住む地域を限定している」などです。これらを呑んでくれるのが絶対条件。しかし、相手にはメリットを感じるのが難しい条件だと相手探しは困難を極めます。

難しい理由と、理解されない人

難しい理由は、相手よりも条件を重んじていて思い遣りに欠けている人、いわゆるワガママに思われるからでしょう。
しかし、これが叶ってしまう人と叶わない人がいます。その明暗を分けるものは、何でしょう。それはお互いに好きになる前から提示するか、好きになってから提示するかの違いです。また根底には「条件は叶えてもらうのではなく、自分で叶えるものだと理解していて、また相手伝える方法やコツを知っている」という女性であればなおさら理解をされるものです。要するに伝える順序と、相手への愛情があれば良いのです。男性にとっては、好きになった相手の命と同じくらい大切なものがあれば、どうにか叶えてあげたいと思うものです。一方で、叶えてくれることが、相手を好きになる前の時点で最優先事項であり、譲歩など考えていない気持ちの方は、いつまで経っても「婚活しているけれど結果がでない」という負のスパイラルに沈んで、悲しいことに「誰にも理解されない」という女性になってしまいます。

しかしもし理解されないと嘆いている方でも、理解されるように変化するということは、学習してゆけばそう難しいものではありません。

譲れない条件を呑んでもらう事に成功した事例

さて、それでは実例で成功した女性、失敗した女性の事例をみてみましょう。
まずは条件を飲んでもらえることに成功した冒頭のT美さん(35才女性)の事例です。T美さんは大学のピアノ科に合格した際、入学祝いでご両親に買ってもらった高価なグランドピアノを所有していました。ピアノ科学生アルアルの話だそうですが、狭いワンルームマンションにグランドピアノを設置すると、べットを置くスペースがないので、その下に布団を敷いて寝ていたそうです。卒業後はピアノ講師をしていましたが、給料は低く質素倹約の生活。そのため「こんな一人暮らしの生活は大変。早く結婚したい」と20代の頃から夢見ていたそうです。しかしT美さんはこの時、直ぐ相手は見つかるだろう、まさかこのグランドピアノが足かせになって、婚活をこじらせる原因になるとは思っていなかったそうです。
弊社でのお見合いでも惨敗でした。原因の一つは、お見合い時に「私はグランドピアノを持っているのですが大丈夫ですか?」と毎回聞いていることにありました。

私はT美さんにこう伝えました。「グランドピアノ持参で結婚生活をしたいこと自体は悪いことではないです。けれど問題は、初対面の相手に言う事なんです。」

結婚相談所というものは、確かに結婚したい者同士がお見合いするところです。しかしT美さんはまだ何の情もない相手に先走って伝えていまいます。T美さんが そうしてしまうのは「お互いに好きになってから後出しジャンケンの様にピアノの事を伝えて『なんで先に言ってもらえなかったの?それなら自分は無理です』と言われたらお互いの時間の無駄になるので、先に了承頂いてから交際したいんです。」と、条件が叶う相手であるかを選別しその上で好みであれば、ようやく結婚相手として交際したい、という不器用な理由からでした。

面談で掘り下げて、見えてきた客観的な実態

ちなみに、T美さんがどの程度のこだわりが強いかを測るためにこんな質問をしました。「もし、海で大切なお母さんとグランドピアノが溺れていたらどちらを助けますか?」。T美さんは、迷わず「グランドピアノです」と答えました。どうやらこのかなり強靭な自分主義の気持ちが、露骨にお相手男性に伝わり、「まるで自分がその条件を通過するのかチェックされている気分」と映っていたのが最大の『婚活が上手く行かない原因』だったようです。
要するに、自分が選別しているつもりでも、相手からも選別され、お互いに認め合わないムードで交際不成立になる構図でした。

例えば、前回のお見合いでの会話を聞いてみると「グランドピアノの温度管理はとても大切なんです。なので専用マンションに住まないとダメなんですよね〜」と説明をしたそうです。そのため即行NGの連絡がありました。以前の結婚相談所のお見合いやマッチングアプリで初対面の方にも「グランドピアノのお話したら、『タケモトピアノに売ったらどうですか?』とか『電子ピアノじゃダメなんですか?』と失礼な事を言われ、こちらから直ぐにお断りました。また、ピアノについてニコニコしてまるで受け入れてくれている様子で聞いてくれていた人からも即NGされていました。」とのことでした。

私はT美さんにこんなアドバイスをしました。「誰でも大なり小なり結婚するに際してのこだわりや条件はあるものですが、順序を逆にすることで解決できますよ。自分のこだわりがあることは悪いことではなく、どう伝えるかなのです。」

打開策を見つけるコツ

「自分主義」と相手に映ると、例え相手が好きになってくれても”百年の恋もいっぺんに冷めてしまう”ことになるでしょう。どんな一方的な伝え方をしたとしても、あなたの希望を無条件に呑んでくれるのは実の両親以外には難しいのです。結婚相手は赤の他人です。子供が親に甘えるように、旦那さんに甘えてばかりや依存していると結婚生活は続きません。もし結婚したとしても最初のうちだけです。

打開策は、賢い女性になることです。そのためには『逆の立場だったら自分がどう思うか』を想像してみることから見いだせます。「それ、嫌だな〜」と思うことは相手にはしないという基準をもって相手に対応していけば、いつまでも仲の良い夫婦でいられます。

なのでT美さんから「今後どうしたら良いか」というご相談に対しては、「例えばの話ですが、相手男性に『自分は親の介護があり、それを受け入れてくれる女性なら自分は結婚します、そうでなければお見合いで終了とさせて頂きます』と初対面でハッキリ言われたらどうでしょうか。相手からT美さんにとってデメリットとも言える要望を言われたら、どう思うかが第一歩です」と伝えたところ、T美さんは先ずは「自分が今まで何てことを伝えてしまっていたかを初めて気づきました。お見合いが成立しただけなのに、上から目線にも見えて驚きです。嫌なプレッシャーですね」と自分を客観的に理解しました。「これだけ譲ってくれれば」という簡単な話ではなく、相手にとってみたら強い要望のオーラが伝わり、それが居心地の悪さを感じる、夫婦になるイメージはもう湧かない、お見合いだけで辞退したい」と思われてしまうものだったのです。そしてこの日から婚活への心構えが変化してゆきました。周りに迷惑をかけないような気遣いのある素直なT美さんでも、自分では自分が分らなかったのです。毎回相手の立場を考える習慣を付けてゆきました。相手の気持ちを想像することで打開策は解ってきました。次はいつもの行動をどう変えるかです。

譲れない条件を呑んでもらうアドバイスとコツ

婚活だけでなく、会社やコミュニティでも客観的な視点がないと、冷静に考えたら当たり前の事でも、自分が見えなくなって上手く立ち回るのは難しいものです。T美さんも元来は素直で素敵な女性ですが、置かれている状況も行動の癖もどう直してよいか分からなかったのです。
そこで、私は「次のアドバイスとしては、譲れないものを理解してもらいたいなら、譲れないものを一旦横に置いて、先ずは相手を好きになることから始めてみてはいかがですか?」と伝えました。後出しジャンケンになったとしてもご縁がある人とは結婚します。それでダメになっても大きな学習になり、不思議と次からはより良い相手を選べるようになります。
今までと真逆なパータンのアドバイスにT美さんは驚いていました。「私の婚活がこじれていた原因は先に条件を強く思っていた事だったのですね。相手の気持ちなんか考えていなかったです。たくさんの検索データベースがあれば条件が合う人が、いつかは現れるかなと思っていました。合う人を探してチルチルミチルの青い鳥症候群に知らず知らずになっていたのですね!私、自分のことで頭が一杯になって気づかなかったです」

この内面の境地に達すると、理想の相手が現れる

不思議なもので、婚活を学習して、「なるほど、こういう事なんだ!」と理解と体得ができると、当初思っていた以上に素敵な理想の相手がやってきます。何人とお見合いするか、よりも、内面を整えたら直ぐに相手が現れる、そういうものです。顕在意識で自分を動かしているのではなく、潜在意識が自然に自分を動かしているのでしょうか(スピリチュアル全く無知ですが)。腑に落ちると向こうからやってくる。婚活は実に奥が深いものです。半年の面談を重ねて、いつの間にか、考えすぎることを止めたT美さんは成長していました。
そこで近隣の結婚相談所さんからの情報交換で、たまたま年下のお奨めの韓流スターのような塩顔で背の高い彼男性をご紹介することができました。今度こそは「先に好きになること」という方向性で改めて婚活を進めてゆきました。元々は、毎日自炊して家庭料理ができ、真面目で優しいT美さんでした。交際になってからも「グランドピアノ(自我)よりも相手を好きになる」という気持ちを意識してデートに臨みました。グランドピアノを持参して結婚できるかで頭が一杯だったT美さんでしたが、「相手が年下なので、純粋で不器用なんです。一生懸命にデートプランを考えて来てくれて。条件はどうでもよくて、なんだか愛おしいという気持ちになりました」とのデートの度に連絡があり、今までとは違い、会う度に相手への慈しみの感情が生まれて行きました。

そして晴れて「こんなに僕のことを好きになってくれて、是非結婚したいです」と相手男性からプロポーズを受けて成婚をしてゆきました。ピアノは新居近くの安価なワンルームマンションを借りてT美さんの自分の稼ぎで払っています。「私は稼ぎがないから自分の収入をアテにしないお相手がいい、なんて土橋さんに当初は言っていましたが、今は彼のためにもたくさん稼ぎたいという気持ちなんです。」と変化していました。それでも彼が生活費と新居の家賃は比率的に多めに払ってくれているので、自分も一生懸命に家計を支え、また節約しながら美味しい料理を作ってあげれば、生活は困らない、それどころか心が豊かになっています、との事。何より大好きな彼と一緒に生涯暮らせる幸せがある。「ピアノも自力で稼いだお金で誰にも気兼ねなく弾ける練習場をができて、かえってその形が一番しっくり来ています」と結婚後もT美さんご様子のご連絡がありました。旦那様も「こんなに好きになった彼女には僕にできる事はしてあげたい」と、今でも幸せに生活をしています。

譲れない条件を叶えられずに失敗した女性の事例

次は逆の事例です。これは自社の男性会員さんK夫さん(32才会社員 横浜市)が体験した、『どうしても譲れない条件がある』という相手女性S子さんとの交際話です。お相手女性はS子さん(36才シングルマザー 埼玉県北部)の『どうしても譲れない条件』は子供の生活環境でした。ある時S子さんからK夫さんにお見合い申込みが入りました。一般的に30代男性はいくら美人でも、子供がいる女性とのお見合いを承諾する事は珍しいことです。しかもK夫さんは年収もあり、170センチでスタイルが良くスーツの似合う誠実なイケメンさんです。お見合い相手は沢山いるのです。しかし困っている人を助けたいという優しい騎士(ナイト)気質があり、お見合いを受けたようです。お見合いでは話が盛り上がり交際になりました。K夫さんは2回目のデート後、弊社にLINEで連絡がありました。「お相手女性S子さん、素敵な方です。3才の娘さんの生活をいつも心配しているので、まだ2回目のデートの段階ですが、自分はお子さんがゆったり過ごせる物件や近隣保育園などを探して準備を始めたいなと思いました。具体的になったら相談に乗ってください」との内容でした。一方S子さんも、今までは一回り上の49才や50才の男性とばかりお見合いをしていたので若くてイケメンなK夫さんとのご縁に前向きでした。

しかし、S子さんは3回目のデートでこうK夫さんに話をしたそうです。「もし、このまま私とお付き合いをするのなら、私は子供のために埼玉県の○○市(県北)を離れることは考えていないので、K夫さんが転職して○○市に来るか、もしくは今のまま横浜に勤務するのなら往復3時間くらいなので新幹線通勤で埼玉から横浜に通う心づもりでいて下さい」。そしてS子さんの相談所さんからも「このご縁を逃したらS子さんは30代男性とお見合いが出来ないので、そちらが要求を飲んでくれたら丸く収まるのでお願いします」と連絡がありました。
百年の恋もいっぺんに冷めてしまう出来事でした。お子さんの生活のことまで真剣に考えるくらいに相手を想っていたK夫さんですが、当然交際終了になりました。相手女性からは継続を懇願する連絡がありましたが「覆水盆に返らず」、交際からの恋心は脆くも崩れ去りました。順序を誤ったシングルマザーさん、とても残念な結果でした。

まとめ

婚活をする時、人は誰でも大なり小なり譲れない条件があるものです。賢く婚活すれば、思っていた以上のご縁が舞い込んできます。
そしてそんな時は、【前提】と【順番】を念頭において、「せっかち」にならないような建設的な考えが大切です。

【前提】
譲れない条件がある場合は「ちょっとやそっとでは見つからない、最低1年の婚活を覚悟する」事が必要です。T美さんのように「自分の条件は難しい」と自覚をしたら、2〜3ヶ月で諦めたりせずに、1年という長期で面談を重ねて内面を整えたら自分らしい結果が見えて来ます。疲れたら無理せず休会を挟んでも良いと思います。

【順番】
心構えの次は、相手へ伝える順序も念頭におきましょう

1.先ずは自らが本気で相手を好きになり、相手の立場を考え、敬う

2.相手に「本気で生涯大切な人」として好きになってもらう

3.お互いが結婚の意識が芽生えてから話し合い、譲り合い

「ここは譲れないけれど、別なことでは譲歩しよう」と、謙虚になることが大切です。そうした、賢い立ち居振る舞いをした女性は結婚後も相手男性と上手くゆきます。しかしこの順番を守らずに、譲歩もせずに、藪から棒に「この条件を飲んでくれる人しかお見合いしない」とな婚活を続けると、なかなかお相手が現れません。もし、結婚したとしても破局になることもあります。我を通すとガラス細工のように壊れてゆきます。
元々の性格はとても良いのであれば、婚活で気付きを多く学び賢く振る舞うことで、一生心地よい確固たる幸せな人生を掴む事ができると思います。