機能が充実したマッチングアプリが多く開発されている昨今、利用者は年々利用者も増え、消費者庁「マッチングアプリの動向整理」資料」によると、今後も増加の予想だそうです。
会員数の多さや価格の安さが魅力のマッチングアプリですが、結婚以外の目的やトラブルも少なくないために、結婚相談所へ乗り換えをする方も多い一方で、結婚相談所に乗り換えたからと言って結婚出来た人もいれば、出来なかった人もいるのが実際のところです。
今回はマッチングアプリから乗り換えて結婚できた人、出来なかった人、現場で起きている実録をお伝えして、真剣に婚活を考えている方の今後の婚活の参考としてお役に立てたら幸いです。

マッチングアプリと結婚相談所の2つの大きな違い

私は結婚相談所の連盟本部のご相談窓口で全国の結婚相談所や会員様からご相談をお受けしており、また個人でも結婚相談所を運営しているのでマッチングアプリでの出来事や活動内容をよくお伺いしています。そんな中でも乗り換えたお客様が言う「マッチングアプリと結婚相談所」の違いは主に①マッチング数の差②文化の違いと言われます。

まず①マッチング数の違いですが、代表的なマッチングアプリのアクティブ会員数(2025年4月時点 Google AIより)は、with:約80万人、ペアーズ:約60万人、タップル:約60万人、 Omiai:約40万人です。一方で結婚相談所は平均的に8〜10数万人なので、10分の1になる場合もあります。母数がこれほど違っていて、また結婚まで考えないカジュアルな申込みもあるのでマッチング数の差が出ます。
そしてその次の段階として実際お見合いや交際をすると、真剣に結婚に考えている方のみが登録しているのと厳しい会則が存在するので②の文化の違いを感じるようです。マッチングアプリとは『モテる基準』も『活動内容』も違います。結婚相談所の在籍者に対して良くも悪くも『真面目』な印象を受けるかもしれません。ちなみに男女ともマッチングでモテていたという方が乗り換えて、結婚相談所でモテないと感じたときには、『結婚相手の対象となるには?』という根本に向き合った人から結婚相談所での理想の結婚を勝ち取って行くことでしょう。

マッチングアプリから結婚相談所へ乗り換える主な理由

これだけ会員が多くしかも値段も安い便利なマッチングアプリから乗り換える理由は「待ち合わせに来ない(ドタキャンがある)」「プロフィール(婚歴・年収)が違っていた」「ネットワークビジネスや宗教の勧誘だった」「会うことはできるけれど結婚まで辿り着かず自然消滅」「深い関係を境に連絡が取れなくなった」などの度重なる不快な事や不安が募った結果、マッチングアプリに限界を感じ、それらが会則で禁止されている結婚相談所へ乗り換える方が殆どです。
ただし、マッチングアプリを利用して結婚をしたという方も実際いるので、利用者に合っているか、合っていないかという事ではないかと思います。次の章ではマッチングアプリから乗り換えて失敗した例・成功した事例を客観的・具体的にお伝えして考察の一助になればと思います。

【実例】初めて婚活がマッチングアプリだったアラフォー女性の顛末

Mさん(40才)は横浜で一人暮らしをして東京の外資系に勤務している女性でした。数年前にこちらの結婚相談所へ入会面談でお越しになりました。
Mさんは一つのことに集中すると目標を達成するまで寝食を忘れるくらい打ち込む性格で、30代は仕事一筋だったそうです。しかしコロナ期に孤独を感じて「真剣に結婚したい」と、マッチングアプリを開始したところ何事ものめり込む性格なので騙されてしまったとのことです。
その当時、何をどうすればよいか分からず、また結婚相談所は失敗したらお金が勿体ないと考え、手軽に始められるマッチングアプリで開始する事にしたそうです。ネット検索をして『本気度の高いオススメのマッチングアプリ10選』というアフィリエイトサイト(広告主各社が広告費を払ってアフィリエイターに書いてもらうまとめ記事)で『お薦め度 No.1』というマッチングアプリに登録したそうです。「その時はこういった業界に無知で、誰の、何の基準での『No.1』なのか考えることなくその他『安心安全』とか『出逢いが豊富』などという謳い文句で登録してしまいました」とのことでした。
それでも初めの頃はワクワクとした気持ちで検索開始したのを覚えているそうです。直ぐにサイトから気になる同じ年齢40才の相手を見つけ、好みの外見に一目惚れしたそうです。メッセージを送ると当日に返信がきて、とても感じの良い返信に、人生がバラ色になったかのように心が踊ったそうです。細身の8頭身の高身長で爽やかな同世代の彼。日増しにメッセージが頻繁になり、その中で彼は「高校時代はサッカー部で男子校だったからモテなくて、今も男ばかりの飲み会で婚期を逃してしまって」と言っていたそうです。また彼は「Mさんみたいな優しくて女らしい人は男性が放っておかないのに独身なのが不思議ですね」とMさんを褒めてくれたそうです。毎日の生活の中で彼の事を考えるとドキドキしたそうです。

自己肯定感が低く、相手軸の女性は危険

Mさんは人懐っこくてスタイルが良いのですが30代は殆ど恋愛しなかったので「アラフォーになるに連れて女性として扱われることが無いことに寂しさを感じていて、毎回毎回のちょっとした褒め言葉が嬉しくてそんな彼に、むしろ私が彼を幸せにしてあげたいと感じました」と、当時のことを振り返って言いました。返報性の法則なのでしょうか?褒められて幸福な気持ちになってMさんは彼に何かをお返ししたくなったのでしょう。自己肯定感が低く、自分を好きになってくれた相手に「もっと好きになってもらいたい」と一直線に尽くす女性は危険です。恋の仕方も忘れて自己肯定感が低い状態で、ちょっとした褒め言葉でクラクラしたMさんが沼にはまるまで時間はかからなかったとのことです。これまで感じたことのない高揚感に包まれ、毎日の彼とのメールが生きがいになっていったそうです。毎日のメールにどんどん夢中になって、早くも結婚を夢見た3週間後、新宿の居酒屋でお会いすることになったそうです。

モテる男性は早期に関係を持つと熱が冷めやすい

Mさんは、待ち合わせ場所で初めて彼に対面しました。「プロフィール写真通りカッコよくて自分に興味をもってくれているのか身を乗り出して笑顔で色々な話をしてくれていました。」仕事ばかりのMさんがやっと出逢えた理想の相手です。恋は盲目という状態で舞い上がって話が尽きず、飲食店を2軒ハシゴした後、二人でホテルに泊ったとのことです。翌朝、また会う約束をして別れました。

しかし、それから何度メールをしても一切返信がなくなったそうです。「もしかして入院しているのかな?」「仕事が多忙になったのかな?」はたまた「携帯の調子が悪くて返信ができなくなっているのかな?」など様々な憶測が脳内を飛び交ったそうです。しかし、連絡がとれなくなった以上は諦めるしかありません。慣れている女性でしたら典型的な危険な匂いが察知できる事が、ピュアなMさんには出来なかったという事だったようです。

失恋したとはっきり自覚した出来事

よくある話ですが、しっかりした人ほど「自分は遊び相手のような男性には引っかからない、大丈夫」と、今起こっている事を客観視できずに平静を保つためにそう思い込んでしまいます。Mさんは「何か理由があって連絡ができていないだけ。彼は私のことを今も想っている」と、いつまでも現状が信じられない気持ちだったそうです。そんな失意のまま、空いた心の隙間を埋めるために新たな出逢いを求めて、今度は婚活パーティに参加数回参加したそうです。するとパーティStaffからお声がかかって、そのパーティ会社運営の結婚相談所へ勧誘されたそうです。
個室ブースへ案内されて「お相手をお試しで検索」をしたそうです。ふと、彼のプロフィールで『お相手検索』をしてみると、なんと、彼が登録されていたそうです。彼はマッチングアプリを卒業して本格的に結婚相談所に登録したようでした。

もともと自分は結婚相手として対象外だった

そこで更に驚いたのは彼の『希望年齢:29才〜34才』となっていたところでした。ハッキリと失恋したことが判明した瞬間だったそうです。流石にその結婚相談所へは気まずくて入会できなかったそうです。たった1ヶ月弱でしたが毎日恋人同士のようなメッセージのやり取りや新宿でのデートなどを思い出すと、あまりにもショック過ぎて自分が対象外であることを受け入れられないとのことでした。
結婚相談所へ入会後も面談では毎回「彼との交際はどこがマズかったのでしょうか」「どうしたら上手く結婚まで行けたのでしょうか?」というご相談ばかりでした。そしてお見合いも彼の面影を追いかけて高身長でしかも年収1000万以上の同世代にばかり申し込みをするので辞退続きでした。そして最終的には「きっと誰と会っても彼の事を思い出してしまうのでしばらく休会します」と活動2ヶ月で早くも休会に入りました。真面目に結婚を考える同士の土俵で婚活をする前に、本気で結婚を考えていなかった理想の相手との結婚の夢に心酔してしまった事が仇となっていました。時間がかかるかも知れませんが、女性は新たな相手が現れると上書きされるので、その傷が癒えたころに新たな出逢いがある事を祈念するばかりです。

【実例】マッチングアプリから乗り換えて成功した人

Yさん(42才)は都心の美容院勤務のトップスタイリスト。マッチングアプリは20代後半から開始して15年以上利用しているという達人でした。しかし結婚までは至れなかったそうです。そこで知人に「そろそろ結婚を本気でしたい」と相談したところ、結婚相談所の存在を知り「真剣に探している男性が多いのなら」と入会の決意をしたのだそうです。

マッチングアプリでトラブルはなかったが真剣な相手には逢えなかった

Yさんはマッチングアプリ歴が長く、また様々な種類を使いこなしていました。けれど、金銭を要求されたり怖い目には逢ったことはなかったそうです。「ただ、結婚を真剣に考えている人はいませんでした」とのことでした。Yさんは接客業をしているので、人に会うことが大好きでした。しかし、どうして15年もの間、出逢えずにいたのでしょうか?その理由は『理想の高さ』でした。Yさんの理想は『年齢の近い、意識高い系の敏腕の経営者。スタイルが良く、住んでいる地域やマンション・行きつけのレストランやBarも麻布十番や六本木などの隠れ家的でハイセンスなところに通う、それなりに拘りを持つ男性』が希望でした。そんな方がマッチングアプリで真剣に婚活をしているのか果たして疑問ですが、その理想が原因ということはYさんも気づいているようでした。「自分でも分かっているのですが、せっかく結婚相談所に入会をしたのですから、先ずは自分が想っている理想の方に申込みしてみます。」との事でした。

マッチングアプリでは我流の婚活をしていた

想定していた通り、年下〜同年代で高年収の方からは辞退続きでした。
真剣に結婚を考える土俵では、結婚観が『結婚相手とみなされる人』と『短期の交際相手とみなされる人』の違いを理解することが必要です。以前がマッチングアプリだと、お見合い成立率は下がるのが当たり前(遊び目的は排除されているので)ですが、ネガティブ思考になる方も多くいて、説明やアドバイスをしても「このシステムは自分には合わない」や「良い人がいない」と、イソップ童話の「酸っぱいぶどう」のキツネのような気持ちになり受けいられない方もいます。しかし、最初から上手くいかないことはむしろ常套的な流れで、そこから浮上して行くので安心してコツコツ続けることで幸せな結婚が出来るものです。

そのことは入会時Yさんに伝えました。するとYさんはむしろアドバイスが欲しいと喜んでいました。「私はマッチングアプリを駆使してたくさんの方とコンタクトを取ってきましたが、未だに独り身の理由が我流だと分からないのです。どうして結婚まで至れないのか理由も知りたいのでハッキリ教えてもらえるとありがたいです」と素直に受け入れる覚悟で開始をしました。

現実に直面しても大したことではないと受け止める

『自分の理想が現実的には難しい』という事を受け入れることはとても残酷なことですが、婚活をした人は誰もが経験する通過点だと思います。Yさんはそれを受け入れて乗り越えたいと思ってまでも結婚したい理由がありました。「実は自分の美容師という仕事はせいぜい40代中盤くらいが限界と自分では思っているので、美容の内勤などの転職を考えています。けれど結婚相手が決まらないと勤務地や仕事の条件など決められなくてこの一年で決めたいんです。なのでどんな方法でも受け入れるので教えて下さい。」と、とても謙虚で一生懸命な方でした。これまで一人暮らしで頑張ってきたYさんには本当に安定した幸せな結婚をして頂きたい気持ちでした。

結婚は覚悟が必要。飛び込んで幸せになるには勇気がいる

恋はいつの間にか落ちるものですが、結婚は自らを落とさないと出来ません。長年婚活をしている方の中には理想が妄想だと気付けない、気付きたくない心情があります。恋愛や結婚に失敗をしたことがある人や経験がない人に多いのです。人を信じて無駄な条件を取っ払って飛び込む勇気さえあれば思っていたより遥かに幸せになるものです。そこでYさんに一つアドバイスをしました。「同世代・年収1,000万円以上・外見・立地な生活…etc.となると婚活は難しくなります。もはや理想ではなく妄想になりますので、『①内面(相性や性格が好き)』プラス『②譲れない条件1つ』に絞ること。それだけでもかなり幸せで婚活勝者で大成功なのです。思い込みを手放す事を恐れず、光る原石を見つけることが重要です。思った以上の新しい景色が見えてくるものです。以前タワーマンション持った御曹司さんと結婚した方は、一旦手放した人です。
Yさんは実際、入会してから自分が思っている理想の方々に申込みをして辞退が続いていたので「好きな性格と、その他は譲れない条件の2つに絞るという事ですね」と自分に言い聞かせていました。そして「確かにその他の自分の細かい条件は結婚後にどうにでもなりますよね」と納得していました。美容師という職業柄、髪型一つで変身できる事をご存知だったからでしょう。私は、勇気をもって婚活するYさんに「しっかりサポートしますね」と約束しました。人によってはアドバイスはしにくいもので、会員さんの心の受け入れ体制がなければアドバイスによって疲弊させてしまうので、既に覚悟があるYさんはこの時点から「きっと結婚が早い」と予感させられました。

案ずるよりも産むが易し

登録をしてからお見合い成立数はマッチングアプリの半分でしたが、弊社では2つのお見合いサイトを利用しているので少数精鋭で絶え間なくお見合いをして行きました。覚悟があるYさんは無事に半年後になんと、経営者の2代目さんと成婚になりました。六本木界隈に出没するような理想男性とは違った素朴な方でしたが、Yさんは『①内面(相性や性格が好き)』と『②譲れない条件1つ』を自分に向き合った結果、自分の中心核にある想いに気付きました。
相手の条件の幅を広げたり違った方向にしてみたり、月4回ほどお会いしていくうちに自分が求めたい条件は『年収』だという事に気づきました。それは旦那さんにリッチな生活を求めているのではなく、「稼ぐ能力に惚れるんです。今まで頑張っても自分に出来ないことをしている彼に『尊敬』をして生涯そばで自分も仕事を頑張りたいと思いました。」とのことです。
Yさんはトップスタイリストにのし上がるまで、そして年収を稼ぐということがどんなに大変なことかということを身に沁みて人一倍理解している方なので、それが出来る人は自分に尊敬の念を抱いて「この人と生活をしたら自分も頑張れそうです」と、マッチングアプリで出逢っていた浅い絆でなく、いつまでも思い遣りを持って繋がってくれる温かい絆を感じたそうです。

「素朴でもおしゃれなお店を知らなくてもいい。結婚してそういうお店に行きたかったら私が探して連れて行きます。温厚で素朴だけど真面目に人生をまっすぐに歩いて行く彼と一緒に居たいと思ったんです。」とのことでした。ご成婚後の2ヶ月目に入籍をして当日は彼が東京駅に近い高級ホテルに一泊してお祝いをしてくれたそうです。これからも日々絆を深めてもっと最適なパートナーとなるでしょう。

まとめ

今回の話は、アプリと結婚相談所のどちらが『良い』か『悪い』かという問題ではなく(どちらでも自分の婚活スタイルに合っていれば良いと思います)、マッチングアプリで理想の相手と結婚できなかったから、真剣に結婚を考えている人ばかりの結婚相談所は『最後の砦』で、そこでは理想の相手と結婚が簡単にできるという単純なものではないという事例でした。マッチングアプリが合わなかったという方の中でも結婚相談所へ乗り換えて結婚出来る人というのは『刹那的な感情で、あてどなく婚活する人』というより、『理想を客観的・論理的に分析して婚活を進めることができる人』という事です。1人1人に丁寧にお会いして行くことで結婚の真髄を深く学習し、実現可能なこれまで見たことがない景色、大きな幸せがやってきます。
ワンチャンス狙いやマッチングアプリの延長だと考えるとつまずいてしまうので、不安な場合はサポートが少ない又は無いタイプの結婚相談所ではなく、しっかり相談が何度でも出来るところを選ぶことをお勧めします。
『我流』『感情で一喜一憂』『存在しない理想の結婚相手を求めて彷徨う』という事がないよう、しっかり分析して、皆様が素敵な相手を探せる婚活になることを願っています。