昨今は、婚活サービスが豊富な時代ですが、それでも「婚活が厳しい」と長引いている30代を多く見受けます。その理由は何なのでしょう。それは30代の特徴にあるのかも知れません。競争心や上昇志向が強かった昭和時代の30代と違って、今の30代は『素直で人当たりが良く調和を大切にし、一方で繊細で先に進むことが不安で自信が持てない』という特徴があるそうです。(関連ブログ:「ゆとり世代」「草食世代」の30代が婚活で迷走する原因と打開策” )
結婚相談所が加盟する連盟の社長室マネージャーとして相談窓口での対応をし、また個人の結婚相談所を運営していると「マッチング・お見合いはできるけど中々先に進めず厳しい」というご相談をお受けします。今日はそんな「30代婚活が厳しい本当の理由」を実録でお伝えし、客観的に見ることによって少しでも婚活の一助となれば幸いです。
30代女性が成婚を白紙にした驚愕の理由
Aさん(当時39才女性)は神奈川県の公務員さん。34才の時に別な相談所で婚活経験があります。「一流大学卒業のエリートが多い」というウリ結婚相談所からの営業電話でお母様が入会手続きをされたそうです。ネットでのお相手検索サービスシステムが無いので、毎月結婚相談所へ出向きアナログで2名のご紹介をもらい、気に入れば申込みをして相手男性の返事を待つシステムでした。しかし、毎月紹介される相手が10才以上離れていた為に8ヶ月間で2度だけお見合いをして退会しました。最後のお見合い相手は全く対象にならずお見合い場所から泣きながら家に帰ったのを覚えているそうです。それを機に二度と婚活はしないと5年の月日が経ったそうですが、「親を早くに安心させたいのです」とのことで今回は自ら婚活再チャレンジを望みました。Aさんは綺麗な方で、また理想が『同世代~5才年上まで、年収600万以上の清潔感があれば他はこだわらないです』と、それほど高い理想を掲げていないため、お見合いは組めました。毎回付き添いをして30分前には2人で事前に待合せをして順調に進んで行きました。
しかし開始してから3ヶ月ほど経つと、オカシな現象が起こり始めました。
お見合い場所へはギリギリ5分前に到着するようになりました。聞くと、「母が膝の調子が悪いから病院に付き添ってと言われた」とか「父の腰の具合が悪いからタクシーで整骨院に連れて行きました」などお見合いの朝に限って具合が悪くなり、一人っ子のAさんは介助を余儀なくされ危うく遅刻しそうになった時もありました。
またある時は順調に交際していた相手を「交際終了にしてください」とバッサリ切りました。父親に交際相手のプロフィールを見せたところ、『年収が600万じゃ、Aはパートに出るようだな。うーん。』と不評だったからだそうです。そして別な交際相手に対しては「私が身長165㌢あるので、母が私の相手は170㌢ないと、ヒールを履いた時に相手に合わせて話し込んだら猫背になるから」と、母親のアドバイスで168㌢の男性を「あと2㌢足りない」と終了にしました。
また一番驚いたのは、同世代の<高学歴・高身長・年収940万円>でしかもAさんは「どうやら好きになったようです」という男性との件です。2人で話し合って決めた成婚予定の1週間前、突然「交際を終了にして下さい」とAさんから連絡が来ました。理由を聞いて驚愕しました。その理由というのは「点眼をしていたから」とのことです。眼圧を下げる目薬を差していた彼を「将来白内障になるかも」と両親と話し合って白紙に戻すという結論に至ったとの事です。
飛躍した大袈裟な理由を聞いて、ここでやっと気付きました。毎回両親から「結婚しない理由」を吹聴されていたのです。ご両親は無意識なのかも知れませんが娘の結婚を望んでいませんでした。確かに34才の時は願っていたのでしょう。しかし今や70才を過ぎたご両親にとって娘が自立して家を出たら、2人の生活では不安になります。その不安な気持ちは、もともと将来の結婚に自信の無い繊細な30代の娘と利害が一致して、何かと結婚しない理由をつけては、どんなに素敵な人でも排除していったのでしょう。その後、Aさんから電話が掛かってきて「私、実家が好きで家を出たくないのではなく、本当は毎日両親同士の喧嘩が絶えないので結婚して家を出ていきたいんです。けれど家を出て他人と住む事が不安で不安でたまらないんです。なので婚活は休止して、先ずは一人暮らしをして自立して結婚はその後に考える事にするべきだと最近解ってきました」とのことで退会をしました。30代後半まで親と同居だと、結婚して他人と暮らすのはしんどいものです。親との共依存によって知らず知らず自立の機会を失い、先に進む事に自信持てなかったというのが婚活を厳しくしていた本当の理由なのでしょう。一人暮らしで結婚が前向きになるよう心から祈っています。
年収が高くても結婚が厳しい30代男性の理由
Tさん(当時35才男性)は東京下町の従業員5名の機器メーカーの2代目さんです。お父様は早くに息子に後を継がせたのでTさんが30才の時から代表取締役になりました。業績は堅調な会社なので年収は30代にして1,200万円でした。また韓流スターの様にスラっとして塩顔だった為、女性から多くの申込みが来ました。特に同世代の綺麗な女性からのお申込が多くTさんは月に6~7件のお見合いを受け交際にも発展しました。しかしお茶代やデート代で月に10万近く使ってしまったそうです。男性が交際終了を相手に伝える理由として、特に「お金」の事は言いたくないものです。決してケチという意味ではなく自分と相手の常識の違いなので、誤解をされたくないからです。そして35才のTさんは気付いてしまいました。30代中盤以降の女性は、交際相手に対してお金だけでなく将来への様々な要望が多いことを。そこでたまたま申込みのあった20代女性数名とお見合いをすることになり、純粋な性格に一緒にいてホッとする楽しさを感じるようになりました。例えばお見合い場所はホテルラウンジでなく気軽なカフェを指定されたり、デートは丸の内の皇居近くの洒落たスターバックスなどでも喜んでくれたそうです。プレッシャーから解放されるような気持ちになりました。エリートやお金持ちの方ほど、庶民的な女性と結婚していきます。しかし、20代の女性からは最終的に「やはり同世代のが楽しい」と断られることが多くなりました。
もはや需要と供給が一致しない婚活の様相を呈して行きました。
当初は「こんな自分のことを良いと言ってくれる女性ならどなたでも」と言っていたTさんは段々と「綺麗で性格が大和撫子のような20代の女性」に目覚めて、いわゆる「理想が高い」という状態になっていきました。時間に余裕がある20代ならまだしも、30代中盤でそうなると、果てしなく理想を追い求めてあっという間に40代になって若い女性からは対象から外されるという怖さがあります。婚活市場は6対4で男性のが少ないので年収が高い男性はお見合いはいくらでも出来ますが、それが却って自分を見つめる機会を失い、「存在しない理想の人物」を追い求めてしまいます。それが婚活を厳しくしている本当の理由です。Tさんは今直ぐ結婚しなくても困らず、また好みの綺麗な方を探すのは当然のことなので、今もなおご紹介とご自身での申込みを続けて婚活続行中です。「どこで決めたら良いかが悩みです」とご相談がありますが「年齢を経る度にお見合いできる相手が変わってくるので、そこだけは意識はしておくことは大切ですね。また35才を超えると、以前なら受けて頂けた方からも辞退されるようになるので、理想の優先順位と期限を決めて活動することも重要です」と伝え、後はご自身の英断を願うばかります。
姉妹格差婚を心配する30代後半女性の結婚が難しい本当の理由
Fさん(当時36才女性)は横浜在住のの会社員さんです。二人姉妹で、妹さんは高校時代から交際していた地元の大きな不動産会社の御子息と結婚して子供2人に恵まれ裕福な生活をしているそうです。よくある話ですが、2人姉妹は、3人以上の姉妹と違って常に比べられる事が多く、先に妹さんが裕福な相手と結婚してしまうと、姉としてのプライドが婚活の邪魔をする事があります。
Fさんは以前別な結婚相談所で「私が良いなと思う人からは辞退され、あまり気乗りしない相手からは真剣交際を申し込まれるうちに、婚活疲れを起こして退会しました」との事でした。
しかし活動開始してみると、前回と同じ状況です。Fさんは「いつもこうなのです。どうして断られてしまうのか知りたいです」と相談を受けました。
Fさんのお見合い相手選びの特徴としては「年収・職業・年齢・居住地・外見」を重要視していました。そして交際希望を出していただけるのが『写真のイメージと違う素朴な男性』で、断られるのは実際かなり人気のある男性です。人気のある男性はお見合いの経験値がとても高く、女性の結婚後の相性を察知できるようになっています。条件でなく本当に自分を思ってくれているかは敏感に分かってしまいます。Fさんが「とても楽しかったので交際希望です」と伝えても、例えば相手男性の本音が<お見合いで言葉に出していなくても、金銭的に男性に依存しそうという印象を受けた>という事であれば言葉を変えて「結婚のイメージが湧きませんでした」という返答になります。お見合いで好みの相手と楽しいコミュニケーションが取れたからと言って、高条件の相手からもそう思われているかは定かではありません。お見合いでの会話だけでなく、結婚後の日常生活の価値観がお互いに合っているかが重要視されているのです。結婚は、ご縁(タイミングや運命など目に見えない力)・相性・価値観それらが合っているか合っていないかの問題です。
私はFさんに「条件が良い男性の中から相手を探すのではなく、居心地が良さそう・優しそう・気が合いそうという観点からお申込をしてみてはいかがですか?思った以上によいご縁になります」と伝えました。Fさんは「居心地や性格の相性ですか?私はコミュ力はあるので気に入った方とのお見合いでは相手も楽しんで、居心地良く感じてもらえたと思っていました。なので条件が良い相手であれば居心地は合わせられています」と、驚いた様子でした。
Fさんは妹さんの結婚の呪縛で自分側の「条件」に気を取られ、男性側の「居心地・価値観」という視点まで頭が回らなかったのです。
もし、「条件」で選んで相手から交際を辞退されたら「どこを直すのか」というよりも、次からは「居心地」「結婚後の価値観」という視点でお見合いに臨む事が開運の鍵です。条件を下げるという次元ではありません。先に内面で選ぶと、不思議と経済的にも安定したお相手が引き寄せられます。
妹さんの結婚により「より良い人」を見つけないといけないという呪縛で、本末転倒になっていました。それが長女であるFさんの結婚を厳しくさせていた理由です。結婚相談所は年収などの条件が先に分かってしまうので最初に条件というフィルタを通して結婚相手かどうかを検知してしまうのですが、素直な心で自分が居心地良く感じる野に咲くたんぽぽの存在を見つけることが幸せの第一歩です。条件はあとから付いてくるものなのです。
その話をすると、Fさんは実は条件は二の次だったことが自分でも分かりました。「よく考えてみたら親は別に格差を付けている訳ではなく私が勝手にそう思い込んでいたのですね。そして私は一緒にいて寛げる相手が最優先にしたい条件でした」と、改めて婚活のスタートをしました。長い事、妹さんに親の愛情優先権を譲ってきて、ただ誰かに受け止めてもらえる相手が欲しかったのです。『将来の旦那様』になる方は、長女タイプで表現が不器用なFさんを、心から理解してくれるという人が合っているのでしょう。
まとめ
婚活を厳しくしているのは、その人の無意識の心理にあることが多いのです。逆を言えばそれに気づく事で、厳しかった暗黒時代のような婚活があっという間に終わり結婚する方もいます。乗り越える前は落ちこんだり、結婚できないかも、と思う人もいますが、ただ単に対象を間違えていたことに気付ければ重い鎧が外れて気持ちが軽くなれるはずです。
また、結婚が滞っていても前向きに進みたいと思っているのであれば、自分の状況を客観的に把握することで見直しができるでしょう。例えば「同居によって親と共依存になっていないか」「お見合いが出来ていても理想の相手が現れない場合は理想が妄想上のものでないか」「時間は有限だと自覚を持って期限を決めているか」「姉妹兄弟・友達・周りと比べていないか」「条件ばかりに注視していないか」「結婚後の居心地の想像は出来ているか」など全体像を把握して進んでゆくと、後々失敗することがなく賢く婚活が出来るでしょう。そもそも結婚は楽しいものです。婚活に迷ったら是非無料相談にお気軽にお越しください。