長年結婚相談所の運営をしていると「奢りなのか割り勘なのか」問題で、婚活が上手く行かなくなった事例を見聞します。
また、私の場合は、私個人の結婚相談所だけでなく、全国の結婚相談所さんが集まる連盟本部でマネージャー職として仕事をしているので、本部でのご相談件数を合わせると、更に多くの悲惨な事例を目の当たりにします。
女性が婚活をするにあたって、奢り・割り勘問題など金銭にまつわる「男女間の価値観のズレ」は埋まることにのない永遠の課題なのかも知れません。
しかしそんな実例を知ることで、惨事を回避できるのではないかと思い、今日は悲惨な末路に至った女性のケースをいくつかお伝えしたいと思います。そして婚活をしている皆さんには賢く幸せな末路をたどって欲しいと願っています。

いつまでも奢られ続けていた女性の末路

M和さんは、28才で有名輸入車のみなとみらいショールームで受付をしていた女性でした。容姿端麗で、上品なので昔から男性に人気のあった事が伺えました。入会して間もなく大田区在住の41才男性からのお申込が来ました。医療機器メーカーの2代目で海外での仕事も多く、また父親の代からの取引先が多いため、英語も堪能で礼儀正しい育ちの良い男性でした。趣味は車でベンツやアウディなどを持っているため、お見合いでは車の話で盛り上がったそうです。そのまま交際になりました。交際1ヶ月目は毎週のように二子玉川や渋谷などのカフェやレストランでお茶やランチを楽しんでいました。徐々に夕方からの居酒屋さんでのデートも重ねるようになりました。

しかし2ヶ月が経った頃、男性から交際終了の連絡がありました。「結婚のイメージが合わないと感じました」とのことです。
突然の結果に愕然としたM和さんからは、「どうしても心当たりがないんです。あんなに仲が良かったのに、どこがいけなかったのか直したいので先方に尋ねてもらえますか?」とのご連絡がありました。懇意にしている結婚相談所だったので詳しく聞いてみました。「実はご馳走になって当たり前になっていったらしいのです。」と開口一番言われました。
男性会員さんは以下のように理由を話たそうです。
『自分としては奢るのが嫌だったと捉えられると嫌なのですが..。彼女、ご馳走されて当たり前な雰囲気なんです。そして結婚についても少し話が出ていたのですが、挙式のことや新居のことで、かなりお金がかかるような夢を語り始めて、正直この女性とは結婚は難しいと考えてしまいました。』とのことでした。
実際は『奢る』問題ではなく、「お金を依存してくる」「思い遣りの無い性格」などが透けて見えたとのことでした。簡単に言えば人柄にガッカリして冷めていったということなのでしょう。確かに御曹司と結婚した女性の特徴といえば、2〜3回目くらいから「こんなに贅沢ばかりしていたら申し訳ないので今後はワリカンでお願いします」や「ランチご馳走になったのでコンサート(や映画)チケットは私が払います、などとお金を同等に払う覚悟や相手への気遣いがある人でした。関連記事「御曹司やエリートと結婚した女性の交際術

M和さんに、概要を伝えたところ「え?いえ!?当たり前とは思わず毎回小さなチョコやクッキーなどプレゼントを渡していました。それに男性は女性に奢らせたくないプライドがあるのでお金は出しませんでした。女性はお洒落にお金がかかるので男性がご馳走をするものだと友達の間ではそれが普通と話しています」と、M美さんは相手に憤慨していました。

男性は、最初は外見や年齢などが気持ちが動きますが、次第に何度もお会いしているうちに、同等に払うような気遣いに愛情を持つようで、また、更に交際が進んだら「もし将来あなたに何かあったら私が養ってあげる」という覚悟が見えると、交際中に「この女性と結婚しよう」と、プロポーズの決意が固まるものです。
そういったことが無いと、だんだん人柄に冷めて交際終了になる末路をたどってしまうものです。

もし、「男性のプライドがあるので割り勘は失礼だ」と思っている女性でも、こちらがお金を払うことを一度でもトライしてみたら交際は続いていたかも知れません。「プライドがある」のは男性ではなく、寧ろ女性なのかもしれません。
奢られること=モテる女性だと、自尊心がくすぐられる、友達にもさり気なく「普通に奢ってくれるよ」とマウントが取れる、愛され自慢ができる、という女性側のプライドなのかもしれません。
しかし、いつも奢ってもらっているので、お返しに一度ご馳走してみたら、距結婚が早まったという女性もいました。

『女性が奢って男性がプライドが傷付いて交際終了になった』という話は一度も聞いたことはありません。「いつもご馳走になっているので今回は私が」と真心を込めて言われたら、嫌な気持ちになる男性はいないどころか、愛情を感じることでしょう。

奢られるのが当然で相手の母親に気に入られなかった女性の末路

ピアノ講師のS美さん(30才)はフリーで各家庭に赴いて小学生〜中学生にピアノを教える仕事をしていました。レッスンフィーは1回2,500円と稼ぎが少ないため、将来の不安があり結婚を考えたそうです。そこで結婚相談所に入会をし、半年後、ようやく理想の39才の総合商社の男性と真剣交際になりました。何でも言うことを聞いてくれ、甘えさせてくれる彼にぞっこんになりました。
なぜそういう彼にぞっこんになったかと言うと、S美さんは幼少期から母親の愛情を一心に受けて、殊、ピアノの教育には惜しみなくお金を注いでもらえたそうです。しかしレッスン代・衣装代・公演参加費用・講師費用・オーストリア留学など、莫大なお金がかかったとのことで、そのため「あなたは将来お金持ちの男性と結婚しなさいね」と言われ続けてきたそうです。自分でもそうするのが自分の生きる道だと22才という若いうちから婚活を続けた結果、ようやく想像以上の男性が現れ、その理想が叶う寸前でした。毎回ご馳走になり、その後は車で家まで送迎してくれました。優しい彼なので、S美さんが稼ぎがないことを理解してくれたり、幼少期から母に言われていたこと、結婚後住みたいところ、結婚式や新婚旅行のこと、欲しいブランドの指輪のことなど話して、彼は漠然と了解してくれていた様子だったそうです。
しかし、成婚直前に「ウチの両親と会ってもらえないか」と彼から申し出がありました。S美さんは、いよいよ夢のような結婚ができると思ったそうです。
しかしその想像とは逆の意味での食事会にだったそうです。なんと彼の母親が一言も口を聞いてくれなかったそうです。そして翌日には交際終了を告げられました。彼がいわく「母にS美さんのことは交際中から話していたのですが、結婚については大反対され、どうにか面会する機会を作って良さを分ってもらおうとしたのですが…」お母様は「前々から色々な話を聞いていると、料理や家事をしなさそうね。あなたの社会的ステータスとお金目当てなんじゃないの?」と心配されたということでした。
母親の反対にあって、もう結婚は難しい局面になってしまったそうです。S美さんは泣く泣く諦めました。すると間もなく交際終了になった相手男性は、派手さもブランド物も持たないような控えめな女性と成婚してしまったそうです。
今もS美さんは婚活を続けていますが、年々歳を取って行くため以前ほどS美さんがターゲットとする年収1,000万円以上・イケメン・高身長という条件の方とはお見合いができなくなっている末路をたどっています。
もし意中の相手が現れた場合、結婚前は、相手だけでなく相手の家族にもイメージが悪くなるような言動や立ち居振る舞いは避けて、多くの要求を伝えることが無いように心がけることが無難です。

「男性は奢るのが当然」持論を貫こうとした女性の末路

A矢さん(39才)は問い合わせで無料面談にお越しになりました。
A矢さんによるとこれまでの恋愛遍歴では「結婚相談所もマッチングアプリも使った事がありません。そういったツールを使わなくてもいつも彼がいました。けれど、先月結婚しようとしてた彼と別れてとても淋しくて思わず問い合わせさせてもらいました。」とのことでした。
入会してからかなりのお見合いが組めました。美人でスタイルが良いので、同世代の会社経営者さんや大手企業役員、広告代理店、出版社、と幅広くハイスペックな男性とのお見合いがとても多く組めました。しかし、A矢さんは「将来の私を安心して任せられる完璧な男性でなかったです。」と、もし交際になっても1〜2回で終了です。なかなか上手くご縁になりませんでした。A矢さんは特に年収にはこだわりました。それと「奢ってくれない男性はナシです」と、奢られるは当然のことだという強い信念がありました。奢ってもらえないと「今日の男性はワリカン男でした。交際終了でお願いします」ということが度々でした。

A矢さんによると、20代〜30代で交際していた相手男性は「少しわがままな自分を理解してくれて大切にしてくれました。海外旅行にも連れて行ってもらったこともあります。誕生日や記念日には、当然ブランド物のプレゼントでした」とのことです。
そんなA矢さんのご意向を受け、知人の相談所さんからの紹介で年収30,000万の5才年上の男性をご紹介しました。優しくて高級車で高級ホテルのバーに連れて行ってくれる彼に、「私の理想です!」と、直ぐに夢中になりました。
しかし1ヶ月半の交際を経て、結局男性から交際終了にされました。その理由は相談所さんいわく「実は、先日、素直でお金がワリカンでお願いしてくる30代前半の女性との交際が始まったんです。A矢さんは綺麗だけど緊張するということで…。良いご縁になると思ったのですが残念でした。今そちらの女性と真剣交際に向けてのお付き合いに集中したいとのことです」ということで、彼との結婚後のイメージを描いてウキウキしていた交際は呆気なく終了となってしまいました。
その後A矢さんは、結婚している尊敬している男性の先輩から「年収が高くても、惜しみなく奥さんに使ってもらおうと思っているオトコなんていないよ。それに最初のキッカケは『可愛いな』とか『綺麗だな』でも、A矢みたいな奢られて当然という相手だと、交際だけでもういいかな〜とフェイドアウトされるぞ」とアドバイスされたそうです。確かに結婚相談所に入る寸前までお付き合いしていた彼から告げられた、別れの言葉は「俺ばっかりお金だしているよね」と「本当に俺のことが好きなのかに疑問だ」と言われたそうです。まだ腑に落ちないA矢さんは、今も「自分に惜しみなくお金を使ってくれる相手」を探して婚活を続け、未だに見つかっていないという末路をたどっています。

女性は綺麗なだけでなく経済的に支える、という気持ちや印象を持たれないと「もしかして散財する女性なのでは?」と思われて結婚をイメージしてもらうのは難しいのでしょう。そして何よりも「愛される」ことばかりに重心を置いて「見返りのない愛する気持ち」がないと相手に見透かされてしまうこともあるのでしょう。

奢られる事=大切にされていると勘違した女性の末路

Mさん(37才)は神奈川生まれで、高校〜大学まで同じ系列の地元の学校だったので、周りに友達の多い女性でした。「私、友達がどんどん結婚していったので以前大手結婚相談所に入会しましたが、面談や相談がほとんど出来ない所だったため、1人で孤独に迷走していました。そこでこのままじゃマズイと焦って、マメに相談ができる結婚相談所を探しました」とのことでMさんの本格的婚活が再スタートです。

Mさんは「私、ポッチャリしてショートカットなので同世代にはモテないのです。前の結婚相談所でも申込みは10才以上年上の男性ばかりでした。私の友達は皆モテるタイプで、同じ歳の旦那さんや恋人に大切にされているのに凄く憧れちゃいます。私も結婚するなら同世代の男性がいいんです」と言っていました。そして女子会をしては『皆、奢られて女として大切に扱われていて、羨ましい』という気持ちを抱いていたそうです。
しかし、Mさんに事件があったのは入会後の2ヶ月目です。
お見合いを開始して5人目の方と交際がスタートしました。「好きという気持ちではありませんが、相手が自分を気に入っている様子なのです。また同世代・公務員・大卒という条件は良いので、何度かお会いしているうちに段々好きになったら良いなと思っています」とのことでした。LINEが好きで長文でラリートークをするタイプのMさんに「男性とは長いLINEは最初のうちはセーブした方が良いですよ」とアドバイスしました。一般的には男性は出会って間もない頃はLINEは1〜3行くらいから開始するほうが成功しやすいと言われます。しかしMさんは、交際スタート直後から相手男性とは毎日長文でやり取りを交わしていました。「彼、前のめりなんです。来週は2回目のデートなのでランチする事になりましたが、私としては急展開で少し戸惑っています。まだそんなに好きではないので」ということでした。

そして当日秋葉原でランチをした後にMさんからデートの報告がありました。「お洒落でも何でもない、普通の街の定食屋さんでした。その上驚いたのですが、私はプラス300円でドリンクがつけられるセットを頼もうとしたら「え?ドリンクも頼むの?」と聞かれたんです。私は「ハイ、頼みます」と答えて注文しました。会計の後、お店の外で待っていたら、「こんな会計になってしまいました」とレシートを見せられたんです。定食は980円でプラス300円だったから1280円なので、そんなに高額ではなかったんですが、「じゃあ私出します」と2千円を渡したら全部受け取ってしまったんです。お釣りは最後まで返してくれませんでした」とのことです。翌日、双方から同時に「価値観の相違」で交際終了に連絡がきて、あえなく白紙になりました。

これについて先方相談所に男性の気持ちの詳細をお伺いしてみると
「Mさんは毎晩長いLINEを送ってきて、この女性は自分に気があると感じたそうです。でも男性はまだ他のお見合いや、交際をしている女性もいるのでどうしようかと思っていたところ、ランチに行くことになったそうです。しかしどうも雰囲気的にご馳走してもらう気が満々なのが見えてしまい、その上、奢ってもらうなら普通はセットにせずに「お水でいいです」という謙虚さが欲しかったらしいのですが、交際初日でがっかりして『この女性との結婚は難しい』と思ってしまったそうなのです」との事でした。

しかし一方でMさんは「いえ、奢ってもらって当然と思っていなくて、ランチをご馳走になるので、次のカフェでは私が出そうと思っていたんです」とのことでした。しかし、それは奢ってもらうのが前提なので、やはり奢ってもらう気だった事になります。また、最も問題なのが、お互い好きになってそれで奢ってもらいたいというのならまだ解りますが、好きでない男性に「奢ってもらうのが女性としてのステータス。こちらは好きでないけど相手が私を好きであれば奢ってもらって当然」という考えです。男性からは透けて見え、ガッカリされてしまうでしょう。

Mさんは「私、イタイ勘違いをしていたんですね..。恥ずかしいです。けれど考えてみたら、好きでない男性に奢ってもらっても嬉しくないですよね。逆に好きな人に奢ってもらって当然と思うのも違うと思いますし、奢られることに憧れるのはやめます」素直なMさんなので直ぐに自分の反省点に気づきました。
Mさんにとっては痛い末路でしたが、それを糧に婚活のコツを体得して、もう二度と同じ事故を起こさないように今も婚活に邁進しています。

まとめ

「奢ってもらうか割り勘か」を問題視する女性は、それが結婚後の試金石だと思っているからなのかもしれません。けれど、奢ってくれたからと言って、結婚後も続くとは限りません。実際は、奢ってもらっていた女性でも結婚後は生活費は折半、もしくは5万しか渡されなかったというお話をよく聞きます。逆に、最初割り勘だったとしても、「自分が食べたものは自分で支払うのが当然なので」と気にしない女性がいましたが素敵な男性と結婚して、旦那様は奥さんの人間性や賢さを尊敬して、安心して家計を預け、結婚後も幸せに暮らしています。
極端にケチな相手では困りますが、奢ってもらえなかったから一律「ナシ」という考えの女性は、男性から『結婚に不向きな女性』とのレッテルを貼られ、男性から縁遠くなるので注意が必要です。

奢ってもらうことで男性を見極めようとする意識を手放して、何かをしてあげたいという相手を見つけることに意識を集中できたなら、途端に相手男性から大切にされ幸せな結婚ができます。そして誕生日などの記念日には美味しいご馳走を奢ってもらえるでしょう。

婚活をしている女性で、以下のことが一つでも当てはまれば、注意して交際をすることをお薦めします。
・相手と相思相愛になっているから「毎回奢られるのは当たり前」と思っている
・奢られ続けている上に、様々な結婚への要望を伝えてしまう
・どんな場合でも奢られないと「この男性はナシ」と思ってしまう
・お見合いでピンっと来ず、「取り敢えず交際してみよう」という程度の気持ちなのに奢られたい

せっかく結婚できても直ぐに別れたら意味がありません。なので所属している結婚相談所の担当に、夫婦が仲良く平和に継続するコツや努力すべき点などマメに相談して『悲惨な末路』をたどらない婚活をすることをお薦めします。